60歳からでも住宅ローンは組めるか?リスクとポイントを解説

不動産

住宅ローンは、住宅を長期間にわたって返済するための資金を借りる方法です。

通常、25年や30年といった期間で返済することが一般的です。

それゆえに、年齢が上がるほど返済が難しくなることを懸念して、自分の夢であるマイホームを手に入れることを諦めてしまう人もいるかもしれません。

しかし、最近では、様々なサービスが登場しており、60歳からでも住宅を購入することが可能となっています。

もしも「退職後にマイホームを購入したい」とか「子どもが独立したため、夫婦2人で暮らす家が欲しい」といった理由で、60歳から住宅購入を考えているのであれば、以下に住宅ローンの組み方や注意点について説明いたします。

60歳で住宅ローンは組める?

まず結論からお伝えすると、60歳からでも住宅ローンを組むことは可能です。

ただし、多くの金融機関では、契約時の年齢制限があるため、実際に住宅ローンを組む際にはいくつかのハードルがあります。

しかし、住宅ローンを利用せずに退職金などの資金を住宅購入に一括で使ってしまうと、将来の老後生活に不安が残る場合もあります。

住宅の購入は人生の大きなイベントです。

一度購入した家にずっと住み続ける人もいますが、ライフスタイルの変化によっては住み替えを考える人もいます。

たとえば、リタイア後に郊外の戸建てから都市圏のマンションに住み替えるケースなどです。

都市部に近いほど交通アクセスが便利になり、病院や買い物なども近くなります。

そのため、子供たちが独立した後に利便性のいいマンションに住み替えることを検討する人も少なくありません。

このような場合には、シニアのための住宅ローンである「リバースモーゲージ型住宅ローン」や、「リースバック」という新しい不動産売却方法を活用することもあります。

まずは、「リバースモーゲージ型住宅ローン」と「リースバック」についてご紹介します。

そして、その後に、住宅ローンを組むことのメリットについても詳しく説明いたします。

リバースモーゲージ型住宅ローンとは?

リバースモーゲージ型住宅ローンは、60歳以上の方を対象としたサービスで、自宅の資産価値を活用して資金を借りることができます。

金利は年2~4%程度で、少し高めですが、融資限度額は担保の評価額の50~60%(特に品質の良い住宅なら55~65%)が一般的です。

しかし、このローンの最大の利点は、毎月の支払いが利息のみであることです。

「リコース型」と「ノンリコース型」

もしも、2000万円を借り入れして金利1.975%だった場合、利息分のみの毎月の支払額は3万2915円になります。

借りたお金の返済方法には、「リコース型」と「ノンリコース型」という2つの選択肢があります。

リコース型では、契約者が亡くなったときに相続人が一括で返済を行います。

一方、ノンリコース型では、住宅や土地などの担保物件を売却することで返済を行います。

どちらを選ぶべきかは、個人の状況によって異なりますが、ノンリコース型は金利が高めという点に注意が必要です。

しかし、相続時の整理が容易であるという利点から、人気があります。

たとえば、フラット35の場合、2019年度の申込者の約98%がノンリコース型を選択しています。

また、リバースモーゲージでは、借りたお金の使途が自由であり、住宅の建設や購入、リフォームだけでなく、既存の住宅ローンの借り換えにも利用できます。

デメリット

一方、住宅ローンのデメリットは、物件を担保にする必要があるため、対象エリアは将来的な地価下落リスクが低い主要都市などに限られることです。

さらに、自宅を担保にするため、不動産市場の変動により定期的に担保評価が見直されることになります。

もし契約途中で担保評価が借り入れ本額を下回った場合、一括返済を求められる可能性も考慮しなければなりません。

また、住宅ローンの金利プランには変動金利が多く適用されるため、注意が必要です。

金利が変動すると、毎月の支払額も変わってきますし、金利が上昇すると支払いの負担が増えるリスクもありますので、心に留めておくべきです。

リースバックとは?

リースバックとは、60歳以上の方がまとまったお金を借りるための選択肢の一つです。

この方法は、不動産を売却することと賃貸借契約を結ぶことを同時に行う売買方法です。

具体的な仕組みは、まず自分が所有している自宅を運営会社に売却します。

その後、自宅は運営会社から賃貸住宅として借りることが可能です(これがリースバックと呼ばれています)。

この方法を選ぶことで、資金を手に入れた後も売却した住宅に住み続けることができます。

リースバックのメリット

リースバックとは、不動産の所有者がその不動産を一時的に売却し、それに伴う現金を得る代わりに、同じ不動産を賃貸契約で使用し続けることができる仕組みです。

このメリットは、資産運用における柔軟性が高まることにあります。

不動産は、インフレに強いといった特徴がありますが、一方で売却が簡単ではないため、現金化には時間と手間がかかるという欠点もあります。

しかし、リースバックを利用することで、不動産を現金化することができます。

たとえば、住宅ローンの残債がある場合、売却金を使って一括返済を行うことができたり、老後資金に不安がある場合、生活費の一部として使用することもできます。

また、相続税の課税額が心配な人にとっても、リースバックは役立つ方法と言えます。

不動産を早めに売却しておくことで、相続税支払いに備えることができます。

実際、リースバックを利用すると、住宅の売却価格が相続税の課税額よりも低く評価されるケースもあるため、新たな節税方法として注目されています。

以上のように、リースバックは不動産オーナーにとって、資産の流動性を高めることや節税効果を得ることができるメリットがあるのです。

デメリット

リースバックは、自宅を賃貸住宅として利用する仕組みです。

しかし、これには毎月の家賃支払いが必要ですので、以前持ち家だった方にとっては新たな住宅費の負担が増える点に注意が必要です。

一般的に、リースバックの場合の賃料は以下のように計算されます。

「売却価格×期待利回り÷12カ月」となります。

期待利回りは物件の種類や築年数、運営会社の基準によって異なり、6~14%程度と幅広い範囲があります。

したがって、事前によく確認しておくことが重要です。

さらに、リースバックを利用する場合、自宅の所有権が運営会社に移動することも覚えておかなければなりません。

売却後の契約は、一般的には借主である自分と貸主である運営会社の双方の合意が必要な定期借家契約となります。

契約の更新ごとに、運営会社が難色を示す場合、別の住居を探さなければならない可能性もありますので、注意が必要です。

現金一括で購入するメリット・デメリットは?

住宅ローンを利用しない購入方法の現金購入のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

住宅ローンを組まずに一括で現金で住宅を購入する最大の利点は、金利負担がなくなることです。

借入金額や金利の種類によっても異なりますが、数千万円以上のお金を借りる場合、利息の支払いだけで数百万円以上の費用がかかることが珍しくありません。

現金で購入すれば、そうした金利や借りる際にかかる手数料の負担がなくなるだけでなく、団信に加入するための保険料も支払う必要がありません。

この点は魅力的です。

さらに、住宅ローンを組むための手続きが不要であることや、返済に困って自宅を手放す心配がなくなるという点もメリットです。

住宅ローンを組むには、金融機関の審査を通過する必要がありますが、そのためには必要な書類の準備などが必要です。

現金一括購入なら、そうした手続きの手間がかからず、追加のストレスを感じることはありません。

さらに、借り入れする際には抵当権を設定する必要もありませんので、自分の意志で家を売却しない限り、ずっと自宅に住み続けることができる安心感も得られるでしょう。

デメリット

住宅を購入することには、いくつかの注意点があります。

まず、物件の値段によっては、数千万円の支払いが必要になる場合があります。

しかし、多くの人は一度にそのような大金を持っているわけではありません。

たとえ持っていても、将来の生活費などを考えると、老後に困る可能性もあるため、慎重に判断する必要があります。

また、住宅購入には、住宅ローン控除が受けられないというデメリットもあります。

住宅ローン控除とは、年末時点での住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税から控除してもらえる制度です。

これによって、数百万円単位で税金を節約することができます。

手持ちの現金を減らしたくない人は、わざと住宅ローンを組んで、住宅ローン控除を利用して、利息支払いの負担を軽くするという選択肢もあります。

したがって、住宅を購入する際には、物件価格や手持ちの現金、将来の生活費などを考慮した上で、慎重に判断する必要があります。

また、住宅ローン控除を利用することによって税金を節約できるメリットもありますが、それに対して手持ちの現金が減ることや、将来の生活費の配慮も必要です。

自身の状況をしっかりと見極め、最善の選択をすることが重要です。

まとめ

60歳の節目でマイホームを手に入れたい人のためには、しっかりとした資金計画を立てておくことが重要です。

老後の生活スタイルが変化することや、子供への資産相続などを考慮したうえで、将来的に手放しやすい物件を選ぶことがポイントです。

まずは、資金計画を立てるために、老後にかかる生活費を把握することから始めましょう。

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